Jun 03, 2006

最先端との距離
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本年度から新しい研究テーマに取り組んでいます。と言っても昨年度から分野が変わってしまうほどではないです。(そんなことしたら、博士号への険しい道を自分で歩きにくくするようなもの。)

新しい研究テーマに取り組むということは、新しい情報を収集することでしょう。ところが、この発想は、研究者としてレベルが低いのだと気づきました。

それに気づかせてくれたのは、ウェブとの関係を変えるきっかけを作ったこの HP です。HP を構築するという作業を自発的に始めてから、RSS や Blog で自然と新しい情報が入るようになりました。しかも、恐ろしく簡単に最新の情報が手に入ります。

そうするとどうでしょう。最新の情報を手に入れるということは、重要なことであるが、その一方で「あたりまえ」だと気づかされました。

ISBN:4415069797

以前読んだ本の「情報感度を磨け!」では、

知ったらおしまい

ということが書いてあります。一度オープンにされた情報は、例えば日経の一面記事、これは最新の情報だけれども、それと同時に他人にも同じ条件で知られてしまうわけです。なので、すでにそれほどの価値を持たないのだ、と言っています。

自分に少しでも関係する最新の情報を取得しているという事実は、実は偉くも何ともなくて、逆に、取得していないならば負けである、あたりまえだと言えそうです。

さて、話を研究テーマに戻しましょう。新しい研究テーマにアタックするためには、必ず過去の研究を調査します。その時には、新規性があると良いなと期待する何かしらのアイディアを思い描いているものです。ところが、調査を進めると、「あ、これ同じこと言ってる」「うわ、もう終わってる」「なんだ、あたりまえの事なのか」と、調査をしながら、期待感と絶望感を同時に得ることになります。それはそれは奇妙な体験です(笑

先日、ある論文を読みました。その論文は、私の発想に非常に近いことを述べていて、同じような立場で議論をしている論文も多数ありました。それらの発表年をみると、おおよそ2000年。もう5年以上も前のお話です。ということは、「私の脳は、最先端と5年以上の開きがある」ということです。そして、そのアイディアは5年前の時点で「最新」であり「あたりまえ」の情報だったわけです。

HP の作成作業をきっかけとして、時間的な要素に強く影響を受ける情報の価値について、私はよく考えるようになりました。そして、次の事実を意識するようになりました。

研究活動の基礎は、少なくとも

  1. 最先端との距離を「0」にし、それを維持すること
  2. 関連分野の情報は常に収集し、思考の軸を周辺から補強すること

の2点を日常的に意識することである。

今の私がするべきことは、まず最先端との距離を「0」にすることです-0-。そして、仮にこの記事が現時点で新規性のある事柄だとしても、「最新」でありすでに「あたりまえ」の情報なわけですね。

研究者としてあたりまえの情報を得るために。。。

■ IEEE
http://www.ieee.org/

追伸: 6/7/2006
同じような内容を教授にお話したところ、「遅れがあるのは研究を追っている状態にあるからで、真にオリジナルならば遅れは存在しない。」とコメントがありました。おっしゃる通り。。。

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May 19, 2006

アイデアの作り方
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「アイデアの作り方」という本を読みました。

ISBN:4484881047

この本は翻訳本で、ジェームス・W・ヤング氏の原著は、

ISBN:0071410945

こちらです。広告代理の分野ではテキスト代わりとして読まれているほどの名著だそうです。

この本で語られている内容は広告代理の分野に限らず、頭を使う作業がメインの仕事において思考の中心に据えるべき考え方だ、と思いました。特に、継続的に頭を使い、なおかつそのアウトプットを求められる場合に、非常に重要な考え方だと言えるでしょう。

本書では、アイデアの作られる過程を5つに分けています。私なりにまとめた表現で5つの項目を並べると。。。

  1. 資料収集(特定の問題解決のための資料と一般的知識)
  2. 資料の徹底分析
  3. 思考の休暇
  4. アイディアの誕生!
  5. アイディアを具体化し現実に則したものに置き換える

になります。非常にシンプルです。今までにアイディア出しをしたことのある人ならば、そのアイディアが上記の流れに沿っていたとは思いませんか?

自分にあてはまると思われるのは、3. 思考の休暇 の部分です。何をするにしてもそうですが、体系立った内容や深みのある思考をする時に、一気にえいや!とやってしまうと大抵は駄作になってしまいます。なので、必ず80%くらいまで作業をしたら一度その作業を寝かせて、後でまた見るようにしています。

この5つの流れの根底にある大きな考え方は、「アイディアは、既存のアイディアの新しい組み合わせである。」という発想です。この考え方は、パレートというイタリアの社会学者によるものです。パレートは、「パレートの法則(いわゆる2割8割の法則)」で有名です。

そう考えると、我々個人が新しいと思うアイディアは、実は、自分が誕生してからそのアイディアにたどり着くまでの期間、その間に知り得た知識の組み合わせに過ぎないと理解できます。

仮にこの考え方が完全に真であるならば、次の2つのことが言えると思います。

  1. アイディア出そうと、うーん・・・と単純に悩んでいても時間の無駄。
  2. 1つでも多くの知識を集めて理解することが最も重要。

とすると、実はアイディアを捻出する行為とは、機械的な作業に落とし込むことができ、この著書の言わんとする5つの流れが、真実を述べていると言えるのでないでしょうか。

この本から私が学んだ、そしてちょっと安心したのは、アイディアを欲する人が初めにするべき、そしてそれが全体のほとんどを占めていると言えるのが、「情報収集」である。ということです。

未熟な私は、がんばって論文を読もうと心に誓うのでありました。

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